「何か質問はありますか?」
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面接の場で必ず受ける、一番厄介な質問です。これに対してその場で適切な答えが浮かばず、「特にありません」と言ってしまう人も多いのではないでしょうか。逆質問における一番良くない回答は「特にありません」です。質問の意図は企業によって変わりますが、基本的に3つの理由があります。1)応募に対する熱意や本気度を計測するため2)思考力やコミュニケーション能力など、それまでの受動的な回答では判別できない能力のチェック3)求職者の疑問や不安を解消し、紙面やホームページだけでは伝わらない企業の魅力を伝え、ミスマッチを未然に防ぐ上記に加え、逆質問は自己PRが行える場でもあります。面接のラストに来るため、上手に質問すれば自分のアピールポイントを再度伝え、印象付けることが可能となります。でもどうしたらそんなことができるのでしょう?今回は、逆質問に対する的確な回答について見ていきましょう。
逆質問に的確に答えるには、まず「自分の質問の意図」を明確にしておきましょう。何を伝えたいのか、何が聞きたいのかで「アピールタイプ」と「チェックタイプ」の二つに大きく分類することができます。
アピールタイプでは自分について話しながら、質問を投げかけるものです。熱意、能力、資格、経験などを面接官に質問という形式でアピールし、印象に残してもらうことが目的です。「これまで〇〇をしてきましたが」などの前置きをしてから、それに関係する質問をするというのがこのタイプになります。就職希望者はリーダーシップや海外在住の経験などをさらっと話したり、転職希望者はこれまでの仕事での成果や資格を織り交ぜたりすると良いでしょう。ポイントは「主張しすぎないこと」です。あくまでこれは質問であり自慢ではありません。英語を使う営業のポジションなのに「漢字検定の資格を持っていますが」なんて言ってしまったら場違いもいいところです。きちんと業務内容に即したアピールをしながら質問をしてください。以下に質問例をいくつか掲載しておきます。
「積極的な性格ですが、社員が積極的に意見をすることが許される環境でしょうか?」自分の積極性をアピールしつつ、社風に探りを入れる質問です。どう積極的か聞かれる可能性もあるので、その準備はしっかりしておきましょう。
「御社の〇〇の事業に非常に興味を持っているのですが、入社後はそこに携わることは可能でしょうか?」企業研究をしっかりしていること、将来のビジョンを持っていることをアピールしながら熱意を伝え、かつ希望する業務を伝えることができる質問です。一見クローズドクエスチョンに見えますが、その後に「どのような勉強や準備ができますか?」という質問で会話を続けることが可能です。また、興味の他にも「将来性を感じている」「〇〇のサービスを愛用している」などと言い換えるのも効果的です。
「前職では〇〇といった実績をあげました。御社では通用しますか?」成果をアピールし、それが次に繋がるかを聞く質問です。イエスなら「他にはどんなことを期待されますか」、ノーなら「どういった成果を重視しますか」などと話が膨らませやすい質問です。
チェックタイプはその名前の通り、企業についてチェックをするための質問で、面接官に対して「私は仕事に対してやる気があります」ということをしっかり伝えられるものです。より細かく仕事の内容や労働環境、業界について聞くことで、やる気のある人と見てもらうと同時に自分の疑問を解消するのが狙いです。また、このタイプの質問では「相手が答えられること」が重要です。面接官が現場取締役なのか、人事部の採用担当なのか、あるいは役員や社長なのかで聞くことが変わってくるでしょう。相手によって質問形式や内容を変え、よりパーソナライズされた質問をすることで答えやすさを意識してください。
「リーダーやマネージャーなどに昇進していくためにはどのような能力が求められますか?」これは「過去にリーダーやマネージャーに昇進した方に共通する資質はありますか?」などと変えても良いかもしれません。社風や求める人物像を確認すると同時に、将来と仕事に向けてのやる気を示すことができます。
「1日の仕事のスケジュールはどのようなものでしょうか?」すでに会社の一員であるという心構えを見せ、仕事のフローなどを確認することができます。他にも「一つの案件を達成するまでのフロー」や「社内の一年間のスケジュールは」などと聞くこともできます。一年間のスケジュールを聞く際は、繁忙期の確認もできます。
「入社後、すぐに貢献できる仕事やプロジェクトはありますか?」すぐにでも取り掛かるフットワークの軽さとアクティブさ、そして仕事に対する高い意欲を示すことができます。
「働く中で本当に大変だった時、それを乗り切るモチベーションは何でしたか?」仕事に対する興味と同時に、仕事において具体的に大変なこと、そしてその際にモチベーションとして何を意識して働くか、すなわち社員が働く上で何を大切にしているかを聞くことができます。
逆に適切ではない質問、というのも存在します。以下のような質問をしていたら気をつけてください。1)ちょっと調べればホームページなどに書いてあってすぐにわかること2)面接の中ですでに説明されたこと3)イエス·ノーで答えられるクローズドクエスチョン4)福利厚生や給与についての質問ちょっと調べればわかること、すでに説明されたことを聞くのはNGなのは当然ですね。これを聞くだけで「あっ、やる気ないのかな」と思われること間違いなし、それまでの評価が全部ゼロになってしまいます。イエス·ノーで終わる質問もまた同じく、会話を膨らませられず、気まずい沈黙の後「特にありません」と答えることになるかもしれません。イエス·ノーで終わりそうな質問の場合は、もしそうなら、という形で理由などを聞くと良いでしょう。福利厚生に関しては少し特殊で、聞き方次第では望む答えに近づく情報を得られるかもしれません。
福利厚生や残業を聞くには、「これまでと比較する」という方法が良いでしょう。「前職では残業がこれくらいあったのですが」「前職では繁忙期が何月だったのですが」と前置きすることで、前職と比較してどうなのか知りたい、という印象を与えることができます。「私と同じように転職して1年後の人の平均年収を教えてください」など、平均を聞くのも良いかもしれません。福利厚生や給与、残業、有給取得率などの質問は気になるところですが、質問の仕方によっては好印象にも悪影響にもなります。不安な場合は聞かない、というのが安全策でしょう。待遇面に関しては人材紹介や転職エージェントを介して聞くというのもあります。企業とのやりとりを仲介してくれるため、面接では聞きにくい給与形態や残業についても教えてくれるでしょう。
「〇〇の資格を持っているのですが御社の仕事で活かすことはできますか?」いろんなサイトに掲載されてますが、これはクローズドクエスチョンです。それだけでなく、「募集しているポジションに対して自分の資格が有益かも判断できない」と考えられる可能性があります。業界がややニッチで、どうしても確認したい場合は「〇〇の資格を持っているのですが、他に準備したり、取得を目指すと仕事に活かせる資格はありますか?」などと聞くと良いでしょう。
「普段残業はどれくらいしていますか?」可能な限り避けたい質問です。「就任後の給与はいくらですか」「従業員割引はありますか」「有給は取りやすいですか」なども同様です。どうしても聞く場合は前述した通り、前職と比較する、コンサルタントを通すなどしてクッションを入れて質問するようにしましょう。また「1日も早く他の社員の方々と同じペースで働きたいと考えているのですが、皆さんは毎日何時から何時まで働いているのですか?1日の仕事フローを教えてください」などとポジティブな理由付けをしてください。
逆質問は面接の中で一番重要と言っても過言ではないものです。だからこそ入念な準備が必要になります。だいたい6つほど、アピールタイプの質問とチェックタイプの質問両方を用意しておくと良いでしょう。半分は面接の中で伝えられることが予測されますので、言及されなかった質問を投げかけてください。