先日、こんな記事をインターネット上で目にしました。
「なぜ私たちは「履歴書の空白」を恐れるのか。転職・学び直しブーム全盛の今こそ考える」
https://www.businessinsider.jp/post-250590
内容をかいつまんで解説すると、
現代社会におけるキャリア形成は、昔の「新卒で入社した会社で一生働く」から「スキルと専門性を高めていくジョブ型採用」に変化している。
変化しているが、それでも履歴書に空白があると、転職において非常に不利になる。
だからと言って、フルタイムで働きながら転職先を探すのが当たり前というのは不思議だ。
今こそ「リスキリング」「学び直し」をキャリア期間に入れても、それを空白期間ととらえない仕組みや価値観が今後形成されると良い。
というものでした。
しかしそこで、人材紹介企業については触れられていませんでした。
もちろん、こちらの記事の筆者が弊社のような人材紹介の企業の担当者に「これだけ空白があるのはちょっと……」などと言われた可能性は、大いにあります。ですが、そうだとしたら、それも転職活動のうちですし、記事内に記載してもおかしくない内容だと思います。それがないということは、私の勝手な憶測ですが、この方は(そしておそらく大半の方の脳裏には)転職活動に人材紹介の会社を活用しよう、というアイディアが浮かんでこないのかもしれません。
昨今、YouTubeでもビズリーチが積極的に広告を出していたり(私が仕事柄検索する内容に即してそのような広告を見せてくれるという可能性は否定できません、というかその可能性が高いんですが)、駅には転職を支援する企業の広告が出ていたりと、確実に目にする機会は多いはずなのです。それなのに、活用まで至らないのは少し悲しいものがあります。
そこで、今回は「なぜ履歴書の空白期間が転職にダメージを与えるのか」について解説すると同時に、「空白期間があってもうまく転職する方法」についてお伝えしたいと思います。
まずは空白期間について説明します。これは、一つの会社を退職し、次の仕事を始めるまでの間のことです。例えば、3月に退社し、7月に入社したとしたら、4月から6月が空白期間となってしまいます。3月に退社して、今も仕事を探している、という方なら、退社してから現在に至るまでが空白期間です。
採用する企業がこれを嫌がる理由はとても単純で、「じゃあこの間は仕事もせずに何をしてたの?」と勘繰ってしまうからです。もちろん、当人にはさまざまな事情があるかと思います。有給を消化していた、仕事に疲れたので休んでいた、次の仕事に向けて勉強をしていた、介護や育児に励んでいた、見識を広げるべく海外に行っていた、精神的に参ってしまったので療養していた、忙しすぎてできなかったけどやりたかったことに挑戦していた……など、理由は千差万別です。
しかし、履歴書、職務経歴書というのは、自分の仕事に関する経験を書くもので、上記に挙げた理由が全て記載できるわけではありません。
加えて、冒頭に紹介した記事内でも書かれていたように、その理由が正当なもので、それを面接で伝えようとしても、最初の書類選考で落とされて面接の機会すら得られないこともあります。
これは、空白期間がある候補者よりも、直近までしっかりと勤務している候補者の方が、比較した際に魅力的に感じるからです。ここでいう魅力とは「仕事にきちんと打ち込んでくれそう」「業務に対する知識が最新そう」「継続力と忍耐力がありそう」という意味であり、完全に採用担当者の憶測でしかありません。
例えばSNSを毎日更新する人とそうでない人、日報をしっかり書く人と週の終わりにまとめて書く人、毎日筋トレをしてる人と思い立った時にしている人、どちらがより「頑張っているように感じるか」と第一印象で決めるとしたら、おそらく前者と考えるかと思います。
これが正しいというわけではありません。ですが、書類選考の時点ではこれしか判断基準がないのです。いえ、これしか、は言い過ぎかもしれません。ですが、これを見て判断して欲しい、という書類が履歴書や職務経歴書なのです。書類から人となりを知るのはとても難しいもので、受け取ったらそこに記載された内容から憶測するしかありません。
ならば空白の理由をしっかり書類に記載すれば良い、と考えるでしょうし、私もそうしない理由が特に思い浮かびません。どこの高校を何年に卒業した情報よりは、空白期間にどんなことをしていたのかという情報の方が有益だとは思うのですが、残念ながら「空白期間は仕事の期間ではない」ので、履歴書や職務経歴書に記載するのはあまりお勧めではありません。「他に書くことがないからこういうことを書いたんだな」と思われてしまいます。
特に職務経歴書では、副業ならともかく、「この期間こんな勉強をしてこんな資格を取りました」はノイズになります。職務経歴書は「過去に仕事でこんなことをして、今の私にはこんなスキルがあります」という情報を見やすく整理したものなので、勉強内容などはこれに含まれません。一方で、成果があるのならば履歴書に「X年X月、XXの資格取得のための勉強を開始」などと書くのは、アリと言えばアリなのかもしれません。もちろんこれは、目標としていた資格が取得できていたら、の話ですが。
ではどうしたら空白の期間がありつつも、上手に転職ができるのか。これは手前味噌で大変申し訳ないのですが、弊社以外でも構いません、人材紹介企業を活用するのがベストな選択です。
もちろん、自分の利益以上に理由があります。なければこんなことは書けません。そもそも、転職をしたいと考えている人から、人材紹介企業はお金をいただきません。採用企業が紹介料を支払う形のビジネスなのですが、これに関してはまた別な機会に改めてお話しすることにします。
人材紹介企業にできて、一人で転職活動を行っている人ができないことに「採用担当者に直接話をする」というのがあります。面接の場でできるじゃん、と思うかもしれませんが、それより前の段階での話です。
人材紹介企業の担当者は、採用を考えている企業からどの仕事の人を探して欲しい、という依頼を受けます。その依頼に合致する人材を紹介するのですが、この時に「この人はここに空白期間があるんですけど、こういう事情があるんです」と伝えることができるのです。最初に紹介した記事の筆者が抱えていた悩みの一つである、書類選考で落とされて空白機関の説明ができない、という悩みは解消されるはずです。
もちろん全ての人材紹介企業の担当者がこれをしてくれる、という保証はありません。担当者はピンキリですが、「ここの空白期間に関して不安があるのですが」と伝えれば、真摯に話を聞き、その情報を採用担当者に伝えてくれるはずです。優秀な候補者を紹介して、そこで長く働いてくれると、それはその担当者、そしてその企業にとって「信頼」となるからです。
最後に、この空白期間を説明するのにおすすめする理由をおまけとして共有しておきます。
一番好まれるのは「勉強」です。スキルアップのための学習は、高い意欲と勤勉な姿勢を示す最良の方法です。もちろん、「転職活動をしながら」という前提はつきますが、リスキリングをしている人なら、採用後もしっかり情報のアップデートを続けてくれるだろうという期待を感じさせます。
もし次に行く企業がベンチャー系の企業や、躍進に意欲的な企業だったとしたら、保守的な理由よりも少し冒険した理由が好まれます。留学、挑戦……学生時代の夢だったことを退職を機に再度挑戦してみた、自分で起業できないかと起業プランを考えて知り合いに声をかけていた、などです。
介護や育児、療養といった保守的な理由は、誰もがぶつかる可能性のある課題であり、これも空白期間の説明としては十分です。ただし、同時にこれは「なぜそれが解消したのか」という理由も必要になってきます。理由に対する理由とはおかしな話ですが、「これこれこういう理由があって休んでましたが、これこれこうなったのでもう大丈夫です」と採用する側に安心感を与えるためです。
少し長めの記事だったので、一部の内容が目を滑って記憶できない、なんてこともあるかもしれません。そこで、これだけは覚えておいてください。
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