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日々のコミュニケーションは、いざという時の備えである

日々のコミュニケーションは、いざという時の備えである

約1年前 by Reili Sweet
Robin Worrall F Pt10 Lxk0cg Unsplash

7月2日未明に発生したKDDIの通信障害に関して、皆さんの記憶にも新しい出来事として記憶されてるかと思います。日本を代表する通信キャリア大手3社の一つであるauの通信回線が、突如として繋がりにくい、または使用できなくなる事故が発生しました。この通信障害は個人のみならず法人向けスマートフォンをはじめ、KDDIの回線を使用しているサービスほぼ全てで不調を発生させ、過去最大規模のトラブルとなりました。誰も経験したことのない大規模な異変に、Twitterでは「00000JAPANのwi-fiを使用できるようにした方がいいのではないか」とまで呟かれたほどです。(00000JAPAN=大規模災害時に無料開放される通信回線)

そんなある種未曾有の大災害となった今回の事件ですが、収束したのは7月5日。わずか3日で、全国規模のトラブルが復旧したのは、賞賛に値するスピードです。比較として、新型コロナウィルス(COVID-19)が日本に上陸したのが2020年1月で、緊急事態宣言が発令されたのが5月。東日本大震災から福島第一原子力発電所の原子炉冷温停止宣言(政府として発電所事故自体は収束したとする宣言)までは9ヶ月かかっています。もちろん、単純な比較とはなりませんが、それでも「少なくない数の人々がトラブル解決に奔走しかかる労力と時間」を想像すれば、auの対応はまさに神業的スピードと言わざるを得ません。

事態の収束までの速度は、誰からみても圧倒的でした。しかし今回、私が注目したいのは、社内連絡の迅速さです。真夜中に発生したトラブルにもかかわらず、1時間半後にはKDDIの公式サイトにお知らせが出されていました。通常、企業を代表したお知らせが発表されるには、一人の人間の判断だけではなく、きちんと部署、ましてや大企業になれば役員などにも許可取りが必要になってくるでしょう。それが真夜中にも関わらず1時間半で行われていたというのは驚異的です。そんな一連の内容がわずかな時間の間に行われていたのは、日頃から報告や連絡に迷いがない企業であるという証拠です。

これを実現するのは並大抵のことではありません。コロナ禍以前でも、誰かに話をしたいと思った場合、オフィスにいるその人が忙しいかどうか、目視で伺ってから話しかけていたことでしょう。仕事の内容であっても、相手が何か苛立ちやストレスの兆候を見せていれば、後回しにするか、別な人に頼むか、自分でやってしまうかと考えることが自然だと思います。昨今ではオンライン会議をするにしても軽い連絡を飛ばすにしても、メッセージやメールでまずは連絡をとり、そこから返事をもらうまでにラグが発生します。auの対応は、このラグが存在しなかったことを示しているのです。

では私たちが自分の企業でこれを実現するにはどうしたら良いでしょうか? 連絡に対して常にアンテナを立て、通知を逃さないようにするのは当然ですが、それ以上に、「連絡を出しやすい空気を作る」ことが重要です。トラブルが発生した時、叱責を恐れて報告を上げられない環境では迅速な対応は絶対にできません。常日頃から企業間、個人間でフランクな連絡を取り合うこと、圧迫感の少ないコミュニケーションを心がけることで、連絡しやすい空気感を社内で作り出すのです。