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全ての社員のための働き方とライフスタイル

全ての社員のための働き方とライフスタイル

4ヶ月前 by Reili Sweet
Jason Strull Kq0 C6 Wt E Glo Unsplash

社員にとって、働き方(ワークスタイル)とは、その会社での働きやすさを決定付ける重要な要素です。しかし、会社が一貫して方針を定め、例えば「うちではリモートワークは認めない、絶対に出社するように」と例外を認めず社員が密かに苦痛を感じていたり、逆に「リモートでもオフィスでも大丈夫だよー、特に決めないから好きに働いてね」と緩くしすぎて成果が上がらなかったりしては、これは社員ではなく企業側の解決せねばならない課題となります。厳格に定めても緩すぎてもいけない、では企業が定めるべき、マネージャーが意識すべき「良い働き方」とは、どのようなものなのでしょう?

先に言っておきたいのは、絶対は存在しない、ということです。ある程度の方向性はあっても、それは様々な調査やアンケートを元にしたデータ上の答えであり、あなたの企業やチームにおいてそれが必ずしも歓迎される答えである、とは限らない点にご注意ください。

2022年10月に弊社が行ったアンケートでは、73%の回答が、「リモートワークで精神的に良い変化があった」となっています。ですが13%は「悪くなった」とも回答しており、全てを満足させることはほとんど不可能である、ということを理解しておく必要があります。

では本題に入りましょう。一般的に「ジュニアレベルの社員は出社(オフィスワーク)を好む」とされています。一方でシニアレベルの社員は、リモートないしはハイブリッドワークを比較的好むとも言われています。これにはしっかりと理由があり、その理由を知らないままで社内の施策を決めては、結局のところ社員が離れていってしまう原因になりかねません。

ジュニアレベル(若手や新しく入社した社員)が出社することを好むのは、わからないことが多いから、です。いくら企業の方がリモートワークに力を入れたいと思っていても、リモートワークを円滑に行うには、チーム内での円満な人間関係と、仕事に対する充分な理解が必要になります。どちらも持っていない社員は、これを獲得するために出社することを望みがちになるのです。わからないことがあればすぐに質問できる環境、業務に必要なものが全て揃っているオフィスという環境は、どれだけリモートワークが発達しても、最も理想的なワークスペースであることに間違いはありません。

言い換えれば、コミュニケーションとノウハウ両方を持っている社員は、リモートワークに対して歓迎を示す、ということでもあります。自分のペースと裁量で仕事ができ、邪魔をされることもなく、リラックスできる環境で仕事ができるということは、それだけ効率的な働き方ができるからです。朝に弱く、午前中は集中力も途切れがちで、あまり仕事に身が入らない人からしたら、朝はゆっくり支度をして、エンジンがかかってきた頃から働いて仕事をどんどん進めることができる環境があることは、毎日決まった時間に職場に出向くより遥かに成果が出せます。

そんなリモートワーク歓迎派は(私含めて)職場にわざわざ出向くことをしません。全てが事足りている、と感じているからです。それでいて成果を出しているのであれば、わざわざ早起きして身支度してオフィスに行くよりも、いつでも仕事に取り掛かれる在宅勤務の環境の方がスピーディで手間もかからないと考えるからです。

ですが、これでは出勤を必要としている人の希望に応えることはできません。ジュニアレベルのスタッフが求めているのは、スピーディなバックアップや、自分たちもそのレベルに達するための知識の共有、すなわちコミュニケーションだからです。コミュニケーションを現在の状態で満足している先輩社員は、自らの殻に閉じこもって仕事をそつなく片付けてしまいます。これにリーチをかけるには、オンラインでのコミュニケーションが必要となりますが、残念ながらオンラインでのコミュニケーションは、どのような手段を使っても対面より語弊が生まれたり、時間がかかったりするものです。これを煩わしいと感じてしまえば、信頼は大きく離れていってしまいます。

そこで今回お勧めしたいのが、「ジュニアレベルの社員をサポートできる環境での働き方を設計すること」です。難しそうに聞こえますが、つまりは一括してリモートだハイブリッドだと決めるのではなく、最低でも仕事における能力で働き方を分けるという意識を持つことです。例外を作らない一括管理は確かに簡単ですが、理にかなっていません。リモートを歓迎する側と職場での仕事を望む側の考え方の違いを意識すれば、自然と見えてくることですよね。

例えば、「新しく入社したら、まずは仕事とチームメンバーに慣れてもらうため、週3回は出社を義務付ける。残りはリモートでも構わないし、その日時は申請してくれればいつでも構わない」という緩いルールを設けます。一方でシニアレベルのスタッフには「新入社員が入ったので、手厚いサポートを与えるために、直近の上司や同僚は最低でも次の半年間は、誰かしらがオフィスにいる環境を作る」などと伝えます。ケースバイケースの対応になって大変ではありますが、このような裁定を用意することで、お互いのニーズに合わせることが可能です。もちろん、最初からフルリモートでも大丈夫、という場合もありますが、これはかなりレアケースでしょう。

また、注意すべきは「結局オフィスにいる人が同じメンバー」にならないようにすることです。頼れるチャンネルやコネクションはいくらあっても困りません。多くの選択肢を与えるように働きかけることは、自分にも多くのチャンスを作ることにも繋がります。同期や同僚だけの狭いコミュニティで社内のやりとりを完結させるのではなく、幅広く触れることができる環境作りが、働き方のフレキシビリティを作るのです。