Banner Default Image

日本で意識すべき「ダイバーシティ」

日本で意識すべき「ダイバーシティ」

4ヶ月前 by Reili Sweet
Nathan Dumlao P Mw4jz Elq Cw Unsplash

多様性、ダイバーシティが語られるようになってもうしばらくが経ちます。国際的にも関心の高いテーマではありますが、それでも日本国内におけるダイバーシティ経営はなかなか進みづらいのが現状です。それは日本が島国という閉鎖的な環境を持ち、諸外国以上にダイバーシティを実現しづらい言語的な隔たりがあることが大きな原因だと分析します。日本でダイバーシティをより実現できるために、実際にできる「一手」とはどんなものでしょうか?

そもそもの話ですが、多様性と一口に言っても、その根幹に据えるべき考え方は複雑です。なぜ多様性が企業の経営に必要なのか、それを意識することで、そもそも自分の会社に「ダイバーシティ」という聞こえの良いカタカナ語が有効なのかが見えてきます。

企業というのは1人で経営されているわけでもないですし、1人で成功する企業は存在しません。例えばフリーランスで大活躍していた人がさらに活動を広げようとした時、必ず外部の人間の力が必要になり、それが将来的には「企業」という形で組織化します。その時、1人だけの判断で経営を続けていては、少なからず将来的に破滅が訪れます。これを防ぐのが「ダイバーシティ」です。

ダイバーシティ経営では、その人だけでは行き詰まる考え方の多様性を取り入れ、それまでリーチできなかった様々な領域へ手を伸ばすことが根幹にあります。多角的な考え方から問題を捉え、柔軟に解決していくのが狙いです。そのため、言ってしまえば考え方が違う人がいれば、同じ人種や性別、宗教であっても「ダイバーシティ」と言えるのです。しかしそれではわかりづらく、また所属する母体によるバイアスもかかり、考え方は一辺倒になりやすいため、一般的にダイバーシティと言った時には「文化的背景=出身が違う人たちを集める」という認識になるのです。

日本は元来島国であり、新しい技術を積極的に取り入れてきたとはいえ文化的に言えば保守的な傾向にあります。革新的な挑戦よりも継続的な成長と繁栄を望みます。新しいことをして成功した人を見れば、その新しさを褒め称えるよりも先に身構え、警戒し、粗探しをしようとします。もちろん、全ての人がそうというわけではありませんし、何もこれを読んでいるあなたがそうであるとも言ってません。ただ、日本の文化の影響を受けていれば、多少なりともその傾向がある、ということです。

裏を返せば、これは慎重で勤勉、状況とその状況に置かれた人物の両方を尊重することができ、分析的であるということでもあります。成功と失敗を同じだけ恐れるため、リスク管理が得意とも言えます。

ですが、そういった人ばかりが会社に集まれば、すぐに行き詰まることでしょう。なぜなら、ある日同じ業界に全く違うアプローチをしてくる企業が現れれば、一気に顧客を奪われてしまうからです。これを防ぐための方法を、ダイバーシティと呼んでいるのです。

ならば外国人を雇えば良いのか、男性ばかりの職場なら女性を雇えば良いのかといえば、必ずしもそうではありません。ダイバーシティ経営で重要なのは、どんな人材を採用するか、というより、「違う意見をしっかりと聞き、否定しないこと」にあります。まずはその土俵作りをしなければ、どんな人材を採用しても、社風が合わないから、と離れていってしまうことでしょう。容認する姿勢が、ダイバーシティを作ります。

例えば男性が大半を占める企業で、女性を採用したとします。そこで採用した女性の意見にもしっかりと意識を向け、否定せずに話を聞かなければ、その女性はすぐに転職してしまいます。これではダイバーシティには程遠いです。

違う意見を提示されても、頭ごなしに否定しない。また、恐れを感じても別な意見を発する。そしてそれを継続させていく。容認こそが「ダイバーシティ」への一手となるのです。