ウェルネスとは?その意味とできること

2024年5月20日

​「ウェルネス」「ウェルビーイング」……聞き馴染みのない言葉ですが、もしかしたら人によってはビジネスミーティングで耳にしたこともあるかもしれません。その時は「あー、ウェルネス、大事ですよねー」と適当に相槌を打ち、その後調べてはみたけどあまり理解できず、なんとなくまぁ健康的ななんやかんやだろう、と考えて終わり、という方もいるのではないでしょうか。今回はそんな「ウェルネス」について、ある程度理解していこう、という内容です。グローバルに関心の集まっているものなので、知っておいて損はないかもしれませんよ。

まずはウェルネスの定義から始めましょう。ウェルネスとは、「全体的な健康状態につながる活動、選択、ライフスタイルの積極的な追求」だとされています。なんのこっちゃ、ワークライフバランスとは何が違うんだ、と思う人もいることでしょう。一つずつ分解して見ていきましょう。

そもそもこの難しい定義を考えたのは世界ウェルネス機構(GWI)という非営利組織です。そこで決定された「The active pursuit of activities, choices, and lifestyles that lead to a state of holistic health」という定義を日本語に訳したものが、先ほどの難しそうな概念です。そしてこのコラムを短くするためにざっくりと言ってしまえば、この考え方に近いのはソクラテスの「善く生きる」こととか、仏教の基本的な教えだったりします。身も蓋もないことを言ってしまいましたが、ウェルネスは新しい概念ではないのです。調べると「6つの次元」とか「ヘルス、ウェルビーイングとの違い」とか色々出てくると思いますが、突き詰めていけば「健康的な食生活を意識しよう」「適度に運動しよう」「質の高い睡眠を取ろう」みたいな内容になっています。一気に身近な考え方になってきませんか? 決して西洋社会で発生した訳のわからないスピリチュアルな概念ではないのです。

ウェルネスがなんとなく理解できるようになったところで、「じゃあなぜこのタイミングで西洋社会がこんな当たり前に近い概念を持て囃してるのか?」ということを知る必要があります。というのも、これを知ることでウェルネスをビジネスにおける武器として使えるようになるからです。

まず前提として、海外と日本とでは言語、文化、思想、教育がどれも全然違うという当たり前のことを再認識しなければいけません。

言語が違うということは、概念として表現できるものが違うということです。「がんばれ」に該当する一単語や、「勿体無い」という概念が英語に存在しない、というのはすでに有名な話ですよね。社会生活の根幹になる言語が違えば、当然文化も考え方も変わってきます。そして、何を重視するかで教育も大きく違ってきます。

私がアメリカ・フロリダ州の教育を受けてきたので、ひとまずアメリカでの教育を例にとってお話させてください。平たくいえば、アメリカでは生活文化的な教育が日本と比べると少ない傾向にあります。州によって変わってくるのかもしれませんが、例えば「ゴミを分別しよう」みたいな考えはありません。だからこそ日本では馴染みのある「エコ」の概念がSDGsという形で広まりました。食育に関しても、体育の授業の一環としてちょっとだけ存在する程度です。日本における性教育くらいの密度ですね。家庭科に該当するものは存在しません。存在しない授業は学びようがないので、彼らが大人になって新しくそれを「学ぶ」と、画期的なものとして認識されます。日本人から見たら「バランスよく食べよう」なんて当たり前のことでも、学校のランチタイムに食べるのがポテトチップスにコーラ、みたいな常識の中では、健康的な食事はまるで革命です(ポテチにコーラのランチは実体験です。本当にそういう子もいましたし、別にネグレクトとかでもないです)。

端的にまとめると、ウェルネスとは世界中の多くの人にとって新しくユニークな、同時に東洋チックで神秘的な考え方に見えたから、なのです。

今度は実践的なウェルネスを見ていきましょう。ウェルネスとはこれをスラスラ読んでいる日本語を母国語とする話者には半ば当然、みたいな概念であることは理解できたかと思います。次はそれをどう実践するか、という話になります。とはいえ、早寝早起きとか健康的な食事とか、そんな理想的なものは実践するのが難しいです。なんたって誘惑が多い世界ですからね。夜更かしもしたいし深夜にラーメンも食べたい。夜一人で静かに瞑想して心を落ち着かせる時間を取る、なんて、そんなのお坊さんかヨガに熱心な人しかやってないよ、なんて思うかもしれません。ですが、そこまで難しく考えなくてもいいんです。Are you doing something for wellness?(ウェルネスのために何かしてる?)と聞かれたら、「寝る前はスマホ触らないようにして、よく眠れるようにしてるよ」「ビタミン剤で栄養不足を補ってるよ」「ちょっとでも運動しようと通勤の時には階段を使うようにしてるよ」「ちょっと早起きしてゆっくりコーヒー飲んでる」くらいでもいい、と私は思います。自分が言う時はなんだかしょぼいな、と思うかもしれませんが、人から言われたら「えっ、それすごい、いいな」って思いませんか? そうした「ちょっと素敵」な、かつ「心身の健康に良さそう」な行動を選択することが、ウェルネスなのです。もちろん、極めてる人はかなり極めてたりしますけどね。決して菜食中心の生活をするとか、夜は11時に寝て朝6時に起きる、とかそんなことはしなくていいのです。人間、そんなに欲望に強くはないですから。

じゃあウェルネスとウェルビーイングって何が違うの、という話も続けてしていきましょう。これはもう簡単で、ウェルネスを継続させる=ウェルビーイングです。一回やるのは簡単でも、実はこの「継続させる」というのが一番難しかったりします。これはみなさんご存知ですよね。ウェルネスを一度きりのものではなく、続けていこう、という働きがウェルビーイングです。
以上が、ウェルネスについて、私の考える全てになります。色々調べはしたんですが、ちょっとずれていたり、私の理解が間違ったりしている部分もあるかもしれないので、興味がある方はぜひ調べてみてください。参考にしたサイトをいくつか掲載しておきますね。

What is wellness?
ウェルネスとは・意味

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