DE&I – 文化的バランスへの挑戦

2024年11月5日

日本企業におけるDE&I (Diversity, Equity, and Inclusion) の重要性

日本では、企業が多様性、公平性、包括性(DE&I)の重要性をますます認識し、この価値観を実現・実践するための取り組みを進めています。よく話題にされるのは性別の多様性です。しかし、私がネットワーク内のリーダーたちと最近ディスカッションした中では、企業が文化的・国別な背景や年齢、職業経験といった、より広範な多様性を取り入れる方向に進んでいることがわかりました。

DE&Iはなぜ必要なのか?

2023年にマッキンゼー・アンド・カンパニーが行った調査によると、性別や民族の多様な経営チームを持つ企業は、そうでない企業に比べて商業的なパフォーマンスが優れていることが示されています。また、マーサーは企業に対してDE&Iを「人材戦略」の重要な一部として考慮するよう促しています。

先日行われたFocusCoreのネットワーキングイベント・Salary Guide Release Party では、マリオ・シュタインショウコ・ナガヤマカーステン・ミヒャリスと共に、彼らの企業が実施しているDE&Iに関連する取り組みについて議論しました。

性別を超えた多様性

フィリップスジャパンの人事ディレクターであるショウコ・ナガヤマ氏は、DE&Iを従来の焦点領域を超えて探求することの重要性について貴重な見解を示しました。彼女は、DE&Iの焦点は性別だけでなく、もっと広範で包括的なアプローチが必要だと説明しました。確かに、もしDE&Iが性別の多様性だけだと考えているなら、それはおそらく、十分に「包括的」でも「多様」でも「平等」でもありません。

多様なチームを作ることにコミットするのであれば、それは性別だけでなく、年齢、国籍、個性の違いをも含むべきです。フィリップスやこのように多様性を公然と受け入れる企業に賛辞を送りたいと思います。

ラベルよりも文化的適合性を重視

レッドブルジャパンの社長であるマリオ・シュタイン氏は、異なる視点を持っていました。彼は、レッドブルでは組織文化に合った才能を採用することが重要だと強調しました。レッドブルでは、企業のコアバリューや哲学に共感する人材を見つけることが鍵であると考え、Wingfinder」と呼ばれる性格評価ツールやケーススタディ面接を通じて、最適な候補者を採用しています。これは、強固な企業文化が包括性の基盤となり、特定のラベルを使わずとも多様性を自然に受け入れる環境を作り出せることを示唆しています。

クオータ制への対応

ビジネスリーダーたちはしばしば、自社の男性社員と女性社員の比率を特定のバランスに保つよう求められると言います。あるCEOは、彼の本社から男性と女性社員の比率を50:50にするよう指示があったと話していました。しかし、このCEOの所属する自動車業界では、男性社員が圧倒的に多いため、その方針に反対しています。

DHLグローバルフォワーディングジャパンの社長であるカーステン・ミヒャリス氏も、パネルディスカッションで同様の課題について触れました。彼は、さまざまなスキルセットや背景を持つ人材を活用し、包括的な環境を作ることが先入観を打破し、より広範な人材プールを開くことにつながると語っています。DHLでは、包括性に焦点を当てることで、従来ではあまり意識されなかった業界からも候補者を引きつけ、業界全体の魅力を高めています。

東京の人材市場におけるDE&Iの役割

東京における外資系企業は進化を続けており、人材管理におけるDE&Iの役割がますます重要になっています。企業も、多様性が企業のパフォーマンスを向上させるだけでなく、社員のエンゲージメントや定着率も向上させることを認識し始めています。レッドブルのように文化的適合性を重視する企業や、DHLのように従来は魅力的とは思われにくい業界の障壁を打破する企業が、より包括的な職場作りを進めています。

採用担当者への主なポイント

  1. 多様性の範囲を広げる:一つの分野に限定せず、多様性を広く捉えること。
  2. 文化を基盤にする:文化的適合性を優先し、より深い採用プロセス(評価ツールやケーススタディ)を用いることで、社風や文化に一致する社員を確保できます。
  3. 包括性は優れた人材獲得戦略:クオータ制は時に包括的な採用プロセスを妨げることがあります。出身地に関係なく、最適な人材を見つけることにオープンでいることが重要です。

最終的には、DE&Iの進化は多様な視点を重視しながら、強固な文化的整合性を維持する職場作りという広範なトレンドを反映しています。私が考える重要な点は、今日の市場で利用可能な多様な才能を引き寄せるような、包括的な環境を育むことです。

DE&Iはあなたの採用にどのように影響を与えていますか?このアプローチはあなたのビジネスでどのように進化していますか?

ビジネスやキャリアのニーズについての議論をご希望の方は、LinkedInまたはjonathan@focuscoregroup.comまでご連絡ください。お会いできることを楽しみにしています。

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