
終身雇用の時代が終わり、定年引き上げも行われ、中途採用を考える企業にとっては難しい時代になってきました。優秀な若手はほしいが、その若手は昇進を強く望んでいない、なんてことも珍しくありません。では今、最も採用すべき狙い目はどこか。それは定年が近い50代60代の候補者です。
とはいえ、不安や心配も多いと思います。そこで今回は、それらの不安を解消できるよう、採用に悩んでいる、または検討しているあなたに向けて書いていきます。
不安その1:健康・体力
年齢を重ねるにつれて、健康への不安や、体力の衰えを感じ始めるのは誰もが同じことだと思います。そして、人事として採用を決定する側ならば、それが採用の選択に影響を与えるのも当然かと思います。
しかし忘れてはいけないのが、50代・60代に突入したビジネスパーソンは、すでにその不安を何年も感じながら働いてきた、ということです。自分たちで対策をとっていることも多いでしょう。何をしているか学ぶことで、他の社員への健康にも良い影響を与えることだってあります。
体力に関しても、これまで働いてきた以上、ある日突然働けなくなるということも少ないはずです。衰えは感じていても、それを創意工夫や、在宅勤務などの会社の取り組みでカバーし、働いてくれることでしょう。
不安その2:思考の柔軟性
高齢者は頭が硬い、という印象は、おそらくいつの時代になっても拭い去ることは難しいはずです。世代間の違いは常識の違いであり、これがある以上は、ある種の諦めがお互いの中に存在します。しかし、だからといってあなたの考慮している候補者が柔軟な思考を持ち合わせていない、ということは決してありません。
そもそもにして、転職を考えている候補者は、新しい環境へ飛び込む覚悟を持っています。新しい挑戦というのは体力も気力も使うもので、ここに労力を割く覚悟と柔軟性をすでに持ち合わせている証拠となります。
加えて、50代・60代になると、次の転職先を最後の就職先としたい、と考えるのも自然なことです。そこでのやり方や使っているツールを積極的に学ぶ姿勢を持っているのは間違いありません。
不安その3:コミュニケーション
上記からつながる話題ではありますが、コミュニケーションの難易度はしかし引き続き抱えています。しかし、これは企業側の取り組みで解消することが可能です。
違う世代や業務の裁量、役職でのコミュニケーションの難易度は、自分の常識や考え方が相手と違う、いわゆる共通観念の欠如が原因で起こるものです。若手社員はスキルを身につけつつお金を稼ぎたいと考える一方、役員レベルになれば企業全体の利益を考えたりしています。マネジメントとして中間に立てば、直属の部下の生活の心配や業務態度などの管理を同時に考えつつ、自分の仕事もこなす必要があるでしょう。こうした考え方の違いが、コミュニケーションの齟齬として発生するのです。
ですが、同時にこれはチャンスとも言えます。新しく採用した50代・60代の社員に、社内ツールの使い方を教えるという名目で若手社員に業務を担当させてみると良いでしょう。これにより、既存の若手社員は教えながら再確認しつつ、仕事に対する姿勢を学び、採用した50代・60代の社員はツールの使い方を学びながら企業の考え、管理職としての考えを伝えやすい環境に立てます。
不安その4:すぐに欠員を作ってしまう
50代・60代で転職してくる、ということは、定年まで残す年数がわずか、ということでもあります。組織としては費用対効果が悪いのではないか、という懸念を抱かずにはいられません。しかし、こんな取り組みはどうでしょう?
今の欠員をその候補者で補充しながら、後任に仕事のやり方などのスキルを教える役割を与えることで、次の欠員を社内で迅速に補充できる環境を整えておくのです。これは企業として教育や採用コストを抑えるのみならず、働く社員のモチベーションを高めることにも繋がります。
採用事例
50代や60代の従業員は、企業で長いキャリアを積んできた人が多く、これまで多くの年数を捧げてきた組織からの退職を考えていることが一般的です。もし企業が、とりわけあなたのような企業が、彼らに魅力的な契約を提供する場合、例えば、年収1200万円の1年間の契約で、年度ごとに延長の可能性があるといった提案をすれば、双方にとって利益の大きな契約となるはずです。
この取り決めは、空きポジションを埋めるだけでなく、業界に精通し、ビジネス運営の複雑さを理解し、苦境をうまく切り抜ける方法を知っている、非常に経験豊かな人材を引き入れることになります。
それこそが、こうした人材から期待すべき真価なのです。
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