
新しく社員を採用する際には、さまざまな期待や希望があり、それに合致する人材を見つけるととても嬉しいですよね。ですが、理想にぴったりと一致する候補者というのはなかなか現れません。理想の人材を見つけるためにできることは多々ありますが(人材紹介の会社を利用するのもその一つです)、ひとつ重要なこと、かつとても難しいことで、「求めている人材」と「必要としている要素」をしっかりと分けて考えることにあります。どうしたらそれができるのか、いくつか例を挙げて見ていきましょう。
若手人材が欲しいと思う時、必要としているのは「保証」
まずどんな採用担当者でもすぐに考えるのが、「できれば30代くらいの若手人材がいい」ということでしょう。経験と知識を有する、それでいて給料が高すぎない人材が理想である以上、特に中途採用を考えているのであればこうなるのは自然なことです。ですが、この裏に隠れたニーズは、若さだけではカバーしきれないのです。
若手人材を探す際の本音は「長く貢献してくれる保証のある人材が欲しい」ということです。一般的に60歳から65歳まで働くとして、どれだけ有能な人材でも50歳ならばあと10年から15年ほどの保証しかありません。もちろん、それを超えて働いてくれる可能性もありますが、病気のリスクなどから確実とは言えません。同程度の経験と知識を持っているならば、40歳の候補者の方が、さらに10年も働く見込みがあります。経験と知識を度外視しても、30歳であれば20年間です。こうした保証が、その他の要因と噛み合った時に、なるべく若手な人材を、という願望として表面化するのです。
ですが当然、経験と知識がある若手なんてそうそういません。そこですべきは、「長く働いて欲しい」という要求に目を向け、「若手がいい」という理想から離れることです。そうすると、例えば50代での転職は勇気が必要です。それでも採用してくれた会社には感謝を示しますし、定年まで安定して働いてくれることが見込める、とも言えるのです。終身雇用が形骸化した昨今では、慣習的な願望と、それを発生させているニーズをしっかりと見極めることで、企業にとって真に必要な候補者を確定させることができるはずです。
採用コストは総合的に考える
良い候補者を人材紹介を通して採用したいと思っていても、採用コストや予算的にそれが現実的ではない、という場合もあるかと思います。身も蓋もない言い方をするならば、「人件費を減らしたい」「給料は安い方がいい」という希望ですね。これは雇用する側であれば考えることですし、なんだったら「少しでも安く買いたい」という欲求は、何かを購入する際に、それがどんなものであれ、生じるものだと思います。なので、一概にそれが悪だと断言することもできません。
重要なのは、安く買いたい、と考える裏に隠れた狙いをきちんと表面化してやることです。なぜ人材の採用費用を抑えようとするのか、それは単純な話ですが、「採用にかかる費用」が一番よく見えるコストだからです。企業全体のコストカットを考えるのであれば、それ以外の部分でも良いはずです。ですが、一番よく見え、一番手っ取り早いのが人件費なため、ここをいかに削るかに焦点が当てられやすいという仕組みがあります。特に既存社員の給料を削減したり、リストラを行うよりも、新しく入ってくる人のコストを下げておく方が心理的な難易度もぐっと下がります。
しかし、下げられるコストは何も給料だけではありません。むしろ、給料を下げることで必要としている人材にリーチできなくなっては本末転倒です。そういう時は業種・業界の経験者を探し、教育や研修にかかる費用を下げる、という手法があります。技術や知識に相応の対価を支払う意思のある企業は、そうでない企業よりも成長します。さらにどうしてもコストを下げたい、となったらリモートワークの導入によって交通費の削減を行ったり、平均よりも高い年齢層の人材を探してみる、などの策があります。
「自主性」という響きに惑わされないで
自主性のある人物、と聞いてどんな人が思い浮かぶでしょうか。これは実はとても曖昧な話で、自分で課題を発見してキビキビ働く人のことを言う場合もあれば、強い協調性でチームとコミュニケーションをしたり、積極的に上司への報告や相談をするような人であったり、知識やスキルを新たに身につけることに意欲的な人物であったり、またはその全てであったりもします。この「自主性」の定義を明確にしないまま採用に望んでも、判断基準が採用プロセスの各ステップでばらばらになってしまい、必要な人材の採用に繋がりません。
ですが、これを「働くことに意欲的な人」と言い直すと、イメージは一本化されます。面接で見る基準に、どれだけ仕事に対してひたむきになれるか、という共通項目が浮かんできます。面接を対応する人によって見る観点は違ってきますが、これは役職や関係性によって、そのポジションとの関わり方が変わってくるからです。
自主性のある人、積極的な人とはすなわち「働くことに意欲的な人」のことなのです。
転職歴が多い候補者の抱えるポテンシャル
転職歴の多さ、または一つの会社での所属期間の短さは、多くの採用担当者にとっては赤信号です。うちでも長く働いてくれないんじゃないか、と危惧するのは当然の反応かと思います。ここでも最初に述べた「長く働いてほしい」という本音が別な形で浮かび上がってきています。
もちろん、転職の理由はしっかりと知る必要がありますが、覚えておかないといけないのは「必ずしも本人の希望で転職をしたわけではない」ということです。転職理由には例えば技術力向上によるヘッドハンティング、ハラスメントによって転職を余儀なくされた状況、短いスパンでのライフステージの変化、人間関係の悪化、就業先企業の倒産や買収、上司の転職や退職による昇進からの転職、大規模人事異動による業務非適合……挙げていけばきりがありませんし、これらが偶然重なることだってないとは言い切れません。もちろん、一年の間に連続して転職している、などという本当のレッドアラートもありますが、多くの人は程度の差こそあれ安定を求めます。転職には何かしら当人にとっては重要な理由がある、ということです。
転職が多い人を採用しない、というのは当然リスク管理の一環であり、採用決定の理由ともなりますが、忘れないでほしいのは「次の仕事で定着するかもしれない」という可能性です。もし転職回数だけが採用を見送る理由ならば、「ではどうやってこの人を定着させられるか」「うちだったらどうやってこの候補者の感じた課題をクリアできるか」を考えれば、他の企業が採りたがらない有能人材の確保が可能となるのです。
そのポジションにどれくらいの英語力が必要かきちんと把握する
私たちFosucCoreでは、バイリンガル人材の紹介に特化しているため、他の人材紹介に比べて「英語も日本語もどちらもできる人が必要だ」という要望を聞きます。そして、この「できる」レベルがどれくらいのものなのか、というのはポジションによって大きく左右します。
本社と日夜やり取りをするようなポジション、日本支社の代表やAPACマネージャーは、ほぼ完璧な英語力を求められますし、時には中国語も必要となります。一方で、日本支社内で業務するファイナンスのポジションであれば、外資系企業であっても英会話よりもUSCPAの所持や日本の税制に対する理解とその翻訳、いわゆる筆記と読解が求められます。
一口に英語ができる、といっても、その内容はリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングに分かれます。時には翻訳をAIに任せることで、読解力がある程度でも問題ない、ということもあるでしょう。
もう一つ意識の片隅に置いておきたいのは、必要なのは言語能力なのか、コミュニケーション能力なのか、ということです。少しレアケースではありますが、本社とのやり取りで必要なのは「聞いて理解する」ことであり、レスポンスの早さや専門性より時間をしっかりと作って対話を行うことであれば、求められているのはハイレベルな英語力よりもある程度の英語力プラスコミュニケーション能力ということなります。これを見誤ってTOEICのスコアなどだけで英語力を判断すると、ミスマッチが発生する要因となってしまうのです。
最後に
外資系企業が日本で採用業務を行うのは、並大抵のことではありません。ですが、単なる希望をベースに判断を行うよりも、そこをヒントとしながら本当に必要な要素を洗い出すことで、採用の判断をより正確に行い、より理想に近い候補者を引き込み、より強いチームを作ることが可能になります。
そして私たちFocusCoreは、そのプロセスをサポートすること、特にバイリンガル人材の採用に関しては、日本でもトップクラスと自負しています。トップレベルの候補者とのミーティングを取り付けるため、ぜひともご相談のスケジュールを組みましょう!
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