
転職をする時には誰だって募集要項にしっかりと目を通すものと思います。業務内容、勤務時間や福利厚生のほかに応募に必要な経験やスキル、資格などが並べられていて、時にはそのハードルの高さに驚いたりもするかと思います。希望する仕事でも条件を満たしていなくて応募できないと感じたこともあるのではないでしょうか。
でも、応募要項は全てを完璧に満たしていなくても、応募しても良いのです。では、どれくらいの合致が必要なのでしょうか?
もちろん、全く合致しないのに応募するのは、採用担当者にとって徒労な上に、あなたの時間も無駄にしてしまう行為です。「経験者募集」とされている職業に、全く何も知らないのに応募するのは意味がある行為とは言えません。
難しいのは「5年以上の経験」を求められているけれど、あなたに3年や4年半の経験しかない時です。企業としては5年以上の経験を条件にしてはいますが、これは「理想」です。そして、理想の相手というのは、恋愛や結婚でも同じですが、なかなかありません。採用担当者もそれを重々承知です。そのため、この経験年数不足を理由に書類選考を通さない、ということはありません。それだけを見て「こいつは応募要項もちゃんと読まないからダメだ」などと切り捨てられることは少ないでしょう。
しかし、同じスキルを持っていて5年以上の経験を持つ候補者がいたら、そちらを優先してしまう、というのも事実です。「条件に合致する候補者」と比較させるほど、あなたにも何かしらの魅力が必要なのです。
どうしたら魅力を増すことができるのか。言い換えるなら、どうしたら「他の誰よりもあなたを欲しい、一緒に働きたい」と思ってもらえるのか。これには二つのアプローチがあります。
一つはスキルで補うことです。もしあなたが別な会社で似たようなポジションに応募する場合、あなたの経験や技術は全てが基本的に使えるものなはずです。そこで、募集要項に記載がなくとも有しているスキルで助けられているものがあれば、それは「応募先の企業が想定していないこと」として、プラスアルファの価値を提供することができるはずです。これは経験年数の若干の差などは簡単に埋めてしまえるものです。他にも大きな達成事項があったり(具体的に数字で示すことができれば最高ですね)、似たような業界であればそこでどう改善していけるかのビジョンがあれば、自己PRなどに盛り込むことで不足分とすることができるでしょう。
もう一つのアプローチは基準が明確ではない部分でアピールすることです。新しいチームマネージャーを探している企業が抱えている問題は、「マネージャーの不足」ではなく「チーム内での円滑なコミュニケーターの不足」や「現場レベルで全体の計画を把握する人がいない」といったものかもしれません。その際には実践的な技術や資格よりも、マネジメント能力やコミュニケーション能力が重視されます。大規模チームのマネジメントや長期プロジェクトの管理経験は、マネージャーを求めている企業にとっては実地的なスキルよりも有益となるはずです。本社とのコミュニケーションを強化したいのであれば、マネジメントスキルももちろんですが、それ以上に本国の文化的理解と言語能力、それに時差に合わせて柔軟な調整ができる人材が望まれます。もちろん、これらが募集要項に記載されていることもあります。条件や必要とされるハードスキルばかりでなく、これらソフトスキル的な側面、求める人物像にも着目することがポイントです。
応募要項の全ての条件を完全に満たしていなければ応募できない、という仕事はありません。しかし、合致する内容が多いに越したことはないです。自分には足りないものがあると思いながらもチャンスを逃したくない場合は、その企業やポジションに対してどんな価値を追加で付随できるかを考え、情熱を企業研究に傾け、応募をしてみる、というのも選択肢です。場合によっては、その勇気が他の似たような候補者を凌駕する一因になるかもしれません。
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