候補者不足の市場で、企業に求められる”行動”

2025年11月12日

現在の採用市場、特に日本においては高齢化や物価上昇の影響もあり、企業は「候補者が不足している」環境であることを実感しています。
しかし、この現状を「実感する」だけでは問題は解決しません。本当に重要なのは、企業がどのように「行動」するかです。優秀な人材を惹きつけ、採用につなげるためには、面接前から入社後のオンボーディングまで、採用プロセス全体のアプローチを適応させていく必要があります。

採用プロセスは、面接よりも前から、求人票(Job Description)から始まります。これは候補者との最初の接点であり、内容が堅苦しかったり、平坦だったり、曖昧だったりしては、スタートラインにも立てません。
採用要件はできる限り簡潔にまとめ、自社の魅力的なポイントを明確に理解しておくことが大切です。たとえば、自社の強みやチームの特徴を把握しておき、候補者が「なぜこの会社で働きたいと思うのか」を説明できるようにしましょう。企業文化や価値観をしっかり伝えることも重要です。また、候補者がどのような採用プロセスを経験するかを事前に明記しておくと良いでしょう。

次のステップは面接です。面接は非常に重要であるにもかかわらず、多くの企業は依然として、長く、曖昧で、疲れるうえに一方的な面接プロセスを採用しています。
競争の激しい市場で目立つためには、面接はスムーズで、明確で、効率的であるべきです。面接の一つひとつのやり取りが候補者を評価するだけでなく、「自社を売り込む場」でもあります。そして、常に忘れてはならないのは、面接の場においては候補者もまた企業を評価しているということです。

給与提示の段階では、特に現職中の候補者に対して、低すぎるオファーを提示するのは避けるということが最も重要なルールの一つです。
現在すでに働いている優秀な人材は、新しい企業へ移る動機がそもそも低い傾向にあります。彼らはすでに一定の給与と、それに見合った生活を送っているため、提示額が現状より低いと「この企業は自分を評価していない」と受け取ります。
日本では夏冬のボーナスを年俸に含めることで月給が低く見えるケースもありますが、たとえ年収ベースで100万円高くても、毎月の手取り額が減ってしまえば、候補者にとっては大きなマイナスです。これは採用の妨げになります。
一方で、最初の面談から誠実かつ現実的に「どのような条件を提示できるか」を明確にし、市場水準に対して競争力があることを理解していれば、候補者がオファーを受け入れる可能性は大きく高まります。
(日本の給与相場については、弊社の年収ガイド(2026 Salary Guide) もぜひご覧ください。)

採用プロセスは、オファー受諾で終わりではありません。入社後の最初の数週間は、その人が長期的に定着するか、それとも早期に離職するかを左右する重要な期間です。
計画的で丁寧なオンボーディングでは、新入社員は歓迎され、サポートされ、入社という決断に改めて自信を持つことになります。明確な役割を与え、早期にフィードバックを行い、マネージャーが積極的に関与することで、その効果は大きく高まります。
オンボーディングは単なる人事手続きではなく、社員の定着と長期的なエンゲージメントの基盤となるプロセスです。

採用プロセスの改善や日本の人材市場についてご相談がある方は、ぜひ info@focuscoregroup.com までお問い合わせください。

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