
ハードスキルとソフトスキルはご存知でしょうか。ハードスキルは仕事に対する知識や経験、技術や資格といったものを、ソフトスキルはリーダーシップや問題解決能力を指します。では、あなたがチームのマネジメントを行うポジションの人物を採用する際、どちらを重視すべきでしょうか? マネジメントの経験や業界知識のハードスキルか、柔軟な対応能力やリーダーシップといったソフトスキルでしょうか?
当然といえば当然ですが、これは採用のニーズに合わせて大きく変わってきます。チーム内や直属の上司との連携、本社とのコミュニケーションを必要とするポジションならば、ソフトスキルが何よりも重要になります。一方で、すぐにでも欠員を解消する必要があったり、専門的な知識を必要とする仕事や業界の場合は、ハードスキルの重要性が一気に高まります。新しく採用する人に何をしてもらいたいか、というのは、ハードスキルとソフトスキルのどちらを重視するかの大きな指標になるでしょう。
ハードスキルの重要性は仕事に直結するのでわかりやすいかと思いますが、ではソフトスキルを重視するというのはどんな場合を指すのでしょうか?
ソフトスキルが輝く場面
ソフトスキルはコミュニケーション、リーダーシップ、問題解決能力、応用力、柔軟性など数値で測るのが難しいながらも、同じ条件で他人と比較できる能力の全般を指します。そのため、たとえば「退職したマネージャーの代わりに、プロジェクトチームを管理するマネージャー」や、「本社と密にコミュニケーションを取り、連携しながら業績拡大をアシストするポジション」といった場合には、マネジメント経験はもちろんのこと、ソフトスキルの重要度が強まります。
人は集団で活動することで大きな成果を発揮しますが、個人の思惑もそれぞれに持っています。こういった個人思考をまとめながらプロジェクトに必要なマネジメントをしていくのもリーダーの仕事であり、仕事に直結するハードスキルの熟知というよりも、技術に対する理解(少なくとも理解を示す姿勢)が必要になるため、前提知識があれば専門的な技術はあとから身につけていくことでも遅くないのです。端的に言えば、ハードスキルは教えられますが、ソフトスキルを完全に身につけるには長い年月がかかるのです。
また、ソフトスキルは他者とうまくやっていく能力でもあるので、将来的な昇進を考えて採用する際にも、長期に渡って一緒に働いていくのであれば、非常に高く重視されるものとなります。
例として、弊社のクライアントで高い専門性と知識を有するファイナンシャルポジションの採用を計画する際、ソフトスキルを重要な採用基準の一つとして検討します。これは結果として現れた数字に対する理解と説明ができたり、業務報告を行う上司や役員ポジションに対する関係構築がとても重要だからです。技術は重要ですが、こうしたソフトスキルこそ、最終的な判断の要因となることも少なくありません。
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採用プロセスでソフトスキルを判断しよう
これを面接の中で知るために、とても良い質問があります。それは「問題が複雑化した状況でコミュニケーションが必要となったことはありますか? そのことについて教えてください」と尋ねることです。もちろん、個人情報などは伏せて、状況を端的に説明する必要はありますが、その人がどのようなアプローチを取るか、何を重視してどう解決するかを聞くことで、チーム内での関係改善や問題認識・解決能力を推し測ることができます。重要なのは「解決に至った答えを出せるか」よりも、問題の中心にいる人に向き合い、迅速に回答を出せたかどうか、です。特に大規模なチームを率いるポジションや、チームの意思決定をするポジションであればあるほど、スピード感をもってしかるべき部署や問題状況への登場人物に連絡が取れるか、意思決定判断ができているかがポイントとなります。
このほかにも、ソフトスキルを判断するための質問例を掲載しておきますので、ぜひ参考にしてください。
- 難しい判断に関して、役員レベルのステークホルダーから承認や承諾を得る必要となった状況に関して教えてください。
- 物事や判断が予定通りに運ばなかった状況に関して教えてください。どうやってそれを乗り越えましたか?
- 前提となる技術や知識がない人に、専門的な内容のアイディアやファイナンシャルコンセプトを説明しなければならなかった時のことを教えてください。
- 他の誰もが見落としていた問題を発見した時に、あなたはどんな行動に出ましたか?
- 予定していた解決方法がうまくいかなかった時、次の手段として何をしたか教えてください。
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面接の場に呼ぶべき人たち
もう一つの判断基準として、直属の上司やチーム内のメンバー、プロジェクト全体のマネージャーに面接に同席してもらう、というものがあります。採用プロセスの中にメンバーを追加し、余計な時間がかかる印象がありますが、これは非常に重要なことです。特に大企業になれば、面接を担当する人、採用を決める人、一緒に働く人が違う、ということもあります。プロジェクト全体を見る人はそのプロジェクト規模が大きいと、プロジェクトチームの各個人にまで対応しきれない状況が出てきたり、逆に従業員がマネジメントポジションまで意見を届かせられなかったり、現場の課題や状況が正しく報告されなかったりといったことが起こりがちです。これらを解消するため、特に一番よく連絡するであろう人や、チーム内の実情をよく知っている人に同席してもらいながら、候補者がうまくやっていけそうかどうかを肌感覚で掴むことができます。
弊社の紹介した候補者を、クライアント企業とチームがカジュアルなランチに連れ出したことがありました。フォーマルな場から離れてチームメンバーと交流が行われた席で、採用担当者とCEOは候補者のソフトスキルやチーム内での調和を見て、最終的な意思決定をすることができたのです。
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採用に絶対的な正解はありません。しかし採用するポジションに何をして欲しいのか、何が重要かを見定めることができれば、より正確かつ企業の戦略に沿った採用判断を下すことができます。
ハードスキル、ソフトスキル、どちらも重要ですが、もし判断に迷ったり、こういった話をより詳しく、深く知りたいという方は、ぜひ info@focuscoregroup.com までご連絡ください。喜んで私たちの知見をお貸しします。
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