
日本でもFP&Aという職種名を目にする機会が増えたのではないでしょうか。
以前は外資系企業を中心に使われるタイトルでしたが、最近では日系企業でも、経営企画や管理会計のポジションをFP&Aとして募集するケースが見られます。
一方で、Zaimo.ai、DIGGLE、Loglassといった経営管理サービスにもAI機能が搭載され始めています。
予実差異の分析やレポート作成までAIが対応できるようになる中で、「FP&Aの仕事は今後なくなるのか」や「これからFP&Aを目指しても大丈夫なのか」と疑問を持つ方もいるかもしれません。
全3回の記事を通して、2026年現時点の求人情報や採用現場で見られる傾向をもとに、日本のFP&A採用市場と、企業から求められるスキルについて整理します。
2026年6月もFP&Aの採用は続いている
結論から言うと、FP&Aの採用需要は昨年と変わらずに募集されております。
2026年6月下旬にも、東京ではFP&A Analyst、FP&A Manager、Finance Senior Managerなど、さまざまなレベルの求人が公開されています。
例えば、6月下旬にはLinkedinにて外資系アパレルブランドのFP&A Analyst/Managerが年収600万から800万円で掲載されたり、ライフサイエンス企業のFinance Senior Managerが年収1,500万から1,900万円で募集されています。また、6月に掲載された別のFP&A Manager求人では、年収1,100万から1,500万円、外資系グローバルブランドのFP&A Manager/Financial Controllerでは、年収800万から1,400万円が提示されています。
このように求人は日に日に増えています。
ただし、ここで注意したいのは、求人が出ていることと、誰でも転職しやすいことは同じではないという点です。
現在の市場では、単に予算を集計した経験がある人よりも、事業部門と一緒に数字を動かせる人が求められています。
求められているのは「レポートを作る人」ではない
直近のFP&A求人を見ていると、予算管理、売上予測、差異分析といった従来の業務に加えて、ビジネスパートナーリングや戦略意思決定支援を求める内容が目立ちます。
例えば、とある製造業のFinance Manager求人では、事業チームと連携しながら施策の優先順位を判断し、価格、プロモーション、投資戦略などを通じてP&Lへの影響を支援することが求められています。別のFranchise Finance求人でも、売上成長、収益性改善、資本配分を支える戦略的なFinance Business Partnerとしての役割が明記されています。
つまり、現在のFP&Aに期待されているのは、「売上が予算を下回りました」と報告することだけではありません。
どの商品が原因なのか。どの顧客や販売チャネルで変化が起きているのか。一時的な問題なのか、構造的な問題なのか。次の四半期に何を変えるべきなのか。
こうした点まで踏み込み、事業部門や経営陣に説明することが求められています。
業界や担当領域への理解も重要になっている
現在のFP&A採用では、FP&A経験の年数だけでなく、どの業界で、どのような数字を扱ってきたかも重視されます。
例えば、外資系アパレルブランドの求人では、売上だけでなく、在庫、仕入れ、物流費、販管費などの分析が業務に含まれています。別のSenior FP&A Analyst求人でも、ファッション、リテール、FMCG業界の経験が歓迎条件として挙げられています。
同じFP&Aでも、業界によって見るべき指標は異なります。小売であれば、店舗別売上、在庫回転率、値引率、商品構成などが重要になります。
製造業では、原材料費、製造原価、生産量、稼働率、歩留まり、物流費などを理解する必要があります。
SaaS企業であれば、ARR、解約率、顧客獲得コスト、LTVといった指標が中心になります。
消費財企業では、価格、販売数量、製品構成、販促費、チャネル別の収益性などが分析対象になります。
そのため、採用する企業も「FP&A経験が5年あるか」だけではなく、「自社のビジネスモデルやP&Lドライバーを理解できるか」を見ています。最近は、Commercial Finance、Supply Chain Finance、IT Finance、Marketing Financeなど、担当領域を細かく分けた求人も増えています。幅広く浅い経験よりも、特定の事業領域に深く入り込んだ経験が評価されるケースも少なくありません。
では、企業が求める「ビジネスパートナー」としてのFP&Aになるには、具体的にどのような経験をアピールすればよいのでしょうか? 本シリーズの第2回では、現在の市場で評価される4つのコアスキルと、役職(レベル)ごとに期待される役割の違い、そして多くの方が疑問に持つ「経理からのキャリアチェンジの可能性」について詳しく解説します。
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