
全3回に渡ってお送りするFP&Aの採用市場を巡るシリーズも、いよいよ最終回を迎えました。FP&Aの現状と求められている内容、評価されやすいスキルと見てきて、今回はFP&Aの今後を考えます。それは、AIとFP&Aの関係性にあります。
第1回はこちら→ 直近の求人傾向と求められる人材 Part 1/3
第2回はこちら→ 評価されるスキルと役職レベルで求められる仕事 Part 2/3
AIはFP&Aの仕事をどこまで変えるのか
FP&Aの仕事にAIが入る流れは、すでに始まっています。
Zaimo.aiは、AIを使った事業計画の作成、予実管理、データ分析を提供しています。DIGGLEも2025年12月に対話型の「FP&Aエージェント」を提供開始し、業務の一部をAIが代替することで、FP&A担当者が経営や事業のパートナーとしての仕事に集中できる環境を目指しています。
Loglassも2026年5月に対話型のAI分析機能を提供開始しました。予実差異や前年比の変動を検出し、要因分析、サマリ作成、グラフ作成まで支援する機能です。
こうしたツールによって、今後は以下のような業務が効率化されていくと考えられます。
- データの収集と集計
- 定型レポートの作成
- 差異が大きい項目の抽出
- 分析コメントの下書き
- グラフや会議資料の作成
- 売上予測や事業計画のたたき台作成
これまでジュニアのFP&A Analystが多くの時間を使っていた作業は、AIによって減っていく可能性があります。ただし、AIが差異を発見できても、現場で何が起きたのかを完全に理解できるとは限りません。
売上が下がった理由が、顧客の予算削減なのか、営業活動の遅れなのか、競合の値下げなのかは、事業部門と話さなければ分からないことがあります。
また、AIが出した提案を採用するかどうかについて、最終的な責任を負うのは人間です。Loglassも、AIは意思決定を支援するものであり、最終的な確認や経営判断は利用者が行うことを前提としています。
FP&Aはなくなるのではなく、期待される水準が上がる
AIによってFP&Aの仕事がなくなるというより、FP&Aに求められる仕事の水準が上がっていくと考える方が自然です。以前は、Excelで正確に数字をまとめ、決められた期日までにレポートを提出できること自体に大きな価値がありました。今後は、集計や資料作成をAIやシステムで効率化したうえで、空いた時間を分析や事業部門との対話に使うことが求められます。
そのため、今後評価されやすいのは、
- AIが出した分析結果を検証できる
- 数字の背景を事業部門に確認できる
- 財務情報を事業の言葉に置き換えられる
- 経営陣に複数の選択肢を提示できる
- システムを使って業務を改善できる
といった人材です。
一方で、データを集計し、決められたフォーマットに転記することだけを強みにしている場合は、今後のキャリアを考える必要があります。
まとめ
2026年6月時点でも、FP&Aの求人はAnalystからSenior Managerまで幅広く出ています。特に、日英バイリンガルで、予算策定、売上予測、予実分析を一通り経験し、事業部門とのビジネスパートナーリングができる人材は、引き続き採用需要が高い状況です。
一方で、企業がFP&Aに求める役割は確実に変わっています。単にレポートが作れることよりも、担当する業界や事業モデルを理解し、数字を使って意思決定を支援できることが重要になっています。
AIや経営管理システムの普及によって、定型的な集計や資料作成は減っていくでしょう。しかし、それによってFP&Aそのものが不要になるわけではありません。これからのFP&Aに必要なのは、数字を作る力だけではなく、数字の背景を理解し、現場と経営をつなぐ力です。
FP&Aの役割は、作業を行うファイナンスから、事業を動かすファイナンスへと変わり始めています。
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