
パフォーマンス評価や面談がひと段落する9月末。「無事に面談も終わったし、うちのチームは問題ない」と一息ついたその瞬間こそ、マネジメントにおいて最も危険なタイミングです。なぜなら、あなたが安心しているその裏で、トップタレントたちの隠れた不満が静かに限界を迎えようとしているからです。
不満を口にするプレイヤーは「すぐには辞めない」
評価面談の場で、待遇や環境への不満を口にしたり、改善を求めてきたりするメンバーがいると思います。彼らの目的は「ただ発散したいだけ」の場合もあれば、「改善は期待していないが、ポーズとして伝えておく」という場合もあります。
マネジメント側からすると手を焼く存在かもしれませんが、実は彼らに共通しているのは「すぐには辞めない」ということです。現状への不満を言葉にして外に出しているうちは、まだその組織にとどまる力学が働いています。マネージャーが本当に警戒すべきなのは、不満を口にする彼らではなく、「一切不満を言わないタレント」なのです。
沈黙するトップタレント
勤勉で、パフォーマンスが高く、組織に忠実。真のトップタレントは、基本的に不満を口にしません。ネガティブな発言がチーム全体の士気を低下させることを理解しており、自分自身の感情をコントロールする術を知っているからです。
しかし、彼らが組織に対して本当に見切りをつけた時、迷わず次を探し始めます。自分のスキルと経験があれば、労働市場で評価される(転職は難しくない)ことを熟知しているからです。誰にも気づかれずにエグゼクティブサーチファームに連絡を取り、水面下で面接を進め、気づいた時にはすでに他社からのオファーを手にしています。
そしてある日突然、マネージャーであるあなたに「少しご相談が……」とチャットが飛んできます。相談とは名ばかりで、それは100%「退職の報告」です。その段階に至ってマネージャーができることは、ただその事実を受け入れ、退職処理を進めることだけなのです。
トップタレントを正しく「評価」し、繋ぎ止める
では、どうすればこの「静かなる離職」を防ぐことができるのでしょうか。トップタレントを社内に引き留める最も確実な方法は、「未来へのロードマップを提示すること」です。
熱意ある優秀なタレントは、単なるプレイヤーとは異なり、常に「次のステージ」を見据えています。ステップアップの機会を探しており、それが今の社内にないとわかれば、培った経験と知識を持って外の世界へ飛び立ってしまいます。
逆に言えば、社内にその機会が明確に存在していれば、彼らは離れていきません。過去の業績をボーナスの額面や昇給で評価するだけでなく、「次のステップへ進むためにクリアすべき課題は何か」「そこに辿り着いた時、どれほどの権限や裁量が得られるのか」を具体的に提示するのです。
まとめ
トップタレントの優秀さに甘え、日々の業務を滞りなくこなし、プロジェクトを回しているだけでは、「トップタレントを惹きつける優秀なマネージャー」にはなれません。彼らは常に、次のステージへ進むための足掛かりを求めています。
組織内にステップアップの道筋を用意し、評価の場で「次はこの困難な課題を、このポジションであなたに任せたい」と伝えること。トップタレントの「内なる炎」をたぎらせ続けることこそが、最高のエグゼクティブ・マネジメントなのです。
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